ベトナム戦争(section 2)

3 開戦の背景

 3.1冷戦と独立運動

1945年8月15日に日本軍が連合国に対して敗北を布告すると、アジアやアフリカにある多くの植民地で、支配国である連合国の疲弊を好機と見て、軍事行動を伴う激しい独立運動が発生した。この動きは、植民地の維持を目論む連合国と、植民地からの解放を欲する植民地国民の間で紛争が頻発した。

 

アジアやアフリカ、特にアジアの独立運動は、勝戦国であるソビエト連邦政府とアメリカ政府のいずれかによって指導・支援されている例が多かった。ヨシフ・スターリン政権のソビエト連邦は、ハリー・トルーマン政権のアメリカに対抗する為に、世界各地の共産主義を名目とする勢力を支援した。そして、米ソ共に核兵器を保有していることから、直接戦争を起こすことを避けて、「冷戦」と呼ばれる構造が成立した。

 

この米蘇の対立は、ベルリン封鎖や朝鮮戦争やキューバ危機に見られるように、「代理戦争」という形で表面化した。資本主義の盟主を自認するアメリカ政府は、中華人民共和国の成立や、東ヨーロッパでの共産主義政権の成立を「ドミノ倒し」に例え、一国の共産化が周辺国にまで波及するという「ドミノ理論」を唱え、アジアや中南米諸国の反共主義勢力を支援して、各地の紛争に深く介入するようになった。

 

 3.2独立の画策

 

ホー・チ・ミン

フィリップ・ルクレール将軍

バオ・ダイ帝1940年8月に、日本軍がフランスの植民地であるフランス領インドシナに進駐すると(仏印進駐)、第二次世界大戦が終わるまで、フランス領インドシナはフランス軍と日本軍による領有権戦争の最中にあった(→ヴィシー政権)。その後、1945年8月15日に日本政府がポツダム宣言の受諾を布告すると、2日後の8月17日にはベトナム八月革命が勃発し、コミンテルンの構成員で、ベトナム独立同盟の指導者の地位にあったホー・チ・ミンは、日本軍政下で独立していたベトナム帝国(元首:阮朝皇帝のバオ・ダイ。首班:チャン・チョン・キム)を倒し、日本軍が手放した保安隊や警察署など政府機関の接収に成功した。

 

その後、ホー・チ・ミンが率いる革命軍は、日本政府が連合国に対して降伏文書に調印した9月2日に、ハノイを首都とするベトナム民主共和国(北ベトナム)を樹立し、国民からの支持が高かったバオ・ダイ帝を「最高顧問」に迎えつつ、共産主義を基礎にした国家建設を目指した。

 

3.3 分離独立

しかし、1945年7月に連合国によって開かれたポツダム会議で、インドシナの処理は決まっていた。北緯16度線を境に、北は中華民国軍、南はイギリス軍が進駐して、約6万のインドシナ駐留日本軍を武装解除してフランス軍に引き継ぎ、インドシナの独立を認めないという内容である。これを受けて、9月6日には駐英領インド軍の部隊がサイゴンに入り、9月9日には慮漢将軍率いる中華民国軍がハノイに入った。これらの連合国軍は、日本軍の収容所に入れられていたフランス軍将兵を解放し、9月21日にはイギリス海軍艦艇に乗った最初のフランス軍部隊がサイゴンに上陸した。

 

その後も、連合国の一員であり、インドシナを日本政府から奪還して植民地支配を続けようとするフランス政府は、ホー・チ・ミンらが目論んだインドシナ全土の独立を認めず、1946年3月6日にベトナム民主共和国を「フランス連合」の一員としてのみ認める合意に達した。

 

この協定によりフィリップ・ルクレール将軍指揮下のフランス軍部隊がハノイに入り、5月までにラオスにも兵力を配置するなどインドシナ一帯に再進駐すると、ベトナム民主共和国からコーチシナを分離する目的で、1946年3月にインドシナ南部に傀儡国家であるコーチシナ共和国を成立させ、グエン・バン・ティンを首班に置いた。

 

3.4 第一次インドシナ戦争

詳細は「第一次インドシナ戦争」を参照

 

更にフランス軍は、1946年12月19日にベトナム民主共和国へ武力攻撃を開始し、ここに第一次インドシナ戦争が勃発した。またフランスは、1948年に「ベトナム臨時中央政府」を発足させ、1949年6月にはサイゴン市(現ホーチミン市)を首都とするベトナム国に成立させて首班にバオ・ダイ帝を据え、ベトナム人民の支持を得ようとしたが失敗した。

 

なお、バオ・ダイ帝は上記のように、ベトナム国の成立以前にホー・チ・ミンによりベトナム民主共和国政府の「最高顧問」に任命されたが、その後意見の対立からフランスに亡命していた。

 

その後フランスは、同じインドシナのラオスを1949年7月に、カンボジアを1949年11月に独立させ、インドシナ全域に影響力を残しつつ、ベトナム国の正当性を強調しようとした。しかし、翌1950年1月にソ連と、成立直後で自らも国家国際承認を受けてすらいない中華人民共和国が、ベトナム民主共和国を正統政権と認証し、武器援助を開始した。

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